簿記を義務教育の範囲に含めるべき理由

この前、簿記を義務教育の範囲に含めるべき旨を記事に書きましたが、もう少し詳しく解説したいと思います。(以前の記事はこちら

よく、「経理担当者でなければ簿記の知識は不要である」「AIの発達により簿記の知識は不要になる」といった意見を聞くことがあります。

しかし、簿記の知識は、貸借対照表や損益計算書(財務諸表)から会社の財務内容を理解するために必要です。

例えば、旅行会社や学校に多額の前払料金を払うことがあると思います。財務内容を理解していれば、倒産の危険性を事前に把握することができます。粉飾決算を行っていた場合に、銀行に対する詐欺罪は立件されていますが、消費者に対する詐欺罪はほとんど立件されない状況を改善すべきです。

また、会社員であれば、自分が働いている会社の財務内容を理解する必要があります。会社の利益が多く出て喜んでいる人がいます。確かに、利益が出ていれば、会社が倒産し、失業するリスクは低いです。しかし、利益は、収益から給料等の費用が差しひかれて算出されます。利益が多く出ている場合、賃金引上げ交渉を検討すべきです。労働組合があれば、労働組合が交渉してくれますが、なければ自分でせざるを得ません。転職の検討材料にもなります。

財務諸表を公表していない会社も多いです。しかし、国民の会計リテラシーが向上すれば、公表していない会社からは、商品を購入しないようになったりし、その結果、公表する会社が増えると思います。

当然、株式等の投資においても、財務諸表の内容の理解は重要です。

次に、簿記は作成方法を学ぶものであり、簿記の知識がなくても、財務分析は可能であるという意見もあります。しかし、簡単な作り方を理解していないと、財務分析の内容を正確に理解できないと思います。算数の知識がないと、平均と中央値の違いを正確に理解できないのと同様です。

このように、簿記の基礎知識は生きていく上でとても役に立つと思うのです。

なお、簿記を義務教育にすべきとの意見を持っている人は結構いるので、私を特異に扱わないよう、お願い申し上げます。