会計事件史③(ライブドア事件)

はじめに

2006年に発覚したライブドアの粉飾決算事件について解説したいと思います。

事件の概要

ライブドアが約50億円の粉飾決算を行っていたことが2006年に発覚しました。

ホリエモンを含む会社役員が逮捕され、有罪判決を受ける結果となりました。

近鉄バッファーローズやニッポン放送の買収を企て、有名人となっていたホリエモンが逮捕されたため、世間が大注目した事件でした。

主たる粉飾決算の手口は、資本取引を損益取引として処理するというものでした。

資本取引と損益取引とは

資本取引とは、出資や配当などの株主(資本家)との取引をいいます。自己株式の売却も、株主権の付与及びお金の流入の点で出資と似たよう効果があり、資本取引に該当します。これに対し、損益取引は、商品の売上や給料の支出など、企業の収益や費用となる取引をいい、損益計算書に反映されます。資本取引を損益取引として処理してしまうと、損益計算書が企業の収益力を適切に示さなくなってしまいます。

ライブドア事件では資本取引である自己株式の売却による収入を損益取引として収益に計上したと判断されました。実際の取引のスキームは投資事業組合が利用されたりとかなり複雑で、ホリエモンは資本取引には該当しないと主張していたようです。(世の中の取引が複雑化し、資本取引と損益取引の区別が難しい取引も存在します。)

終わりに

粉飾決算事件においては執行猶予判決が下されることも多い中で、ホリエモンに対し実刑判決が下されたのは驚きでした。(むしろ、他の粉飾決算の経営者に対する量刑が甘い気がします。嘘をついて高い報酬を得て、さらには部下には嘘をつかせて多大なストレスを負わせていたのだから、もっと重い量刑でいい事件もあると思います。)