継続企業の前提に関する注記について

継続企業の前提に関する注記について解説したいと思います。

以前の記事で触れたとおり、貸借対照表や損益計算書は企業が継続していくことを前提に作成されています。そのため、業績が悪化し、将来に回復の見込みがなく、倒産等の可能性がある程度見込まれる場合には、利害関係者の判断を誤らせないために、継続企業の前提が不確実である旨の注記が必要になります。

しかし、当該注記を付すことは自社の存続が危ういことを外部に認めることとなるため、相当の決心が必要になると考えられます。ただ、継続企業の前提が不確実である旨の注記がないにも関わらず企業が倒産すれば大きな問題が生じます。継続企業の前提に関する注記が適切になされているか否かは公認会計士による監査の対象となります。

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、旅行関連会社等では、当該注記を付す会社が増えているようです。

ただ、JALとANAは、2020年12月末の四半期報告書によれば、継続企業の前提が不確実であるとは判断していないようです。

業績が悪化している会社の有価証券報告書や四半期報告書を観る際には、継続企業の前提に関する注記に注目することをおすすめします。